読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

酔いどれデザイン日誌 - Drunken Design Diary -

都内でデザインファームを営む酔っ払いが、UI/UX設計やデザイン思考論を書き殴ります。

都内でデザインファームを営む酔っ払いが、UI/UX設計やデザイン思考論を書き殴ります。

ウェアラブルに適したアプリとは?ちょっと未来のIoT-UXデザイン

UI UX アプリデザイン ウェアラブル IoT

先日参加したアプリ開発者向けセミナーのあとに他社エンジニアやデザイナーの方と話した「AppleWatchをはじめとしたウェアラブル端末に適したアプリとはどんなものか?」という議論が面白かったので、個人的な考え方を備忘録的に残しておきたいと思います。今はまだもの珍しさが先行するウェアラブル端末界ですが、使い方とアイデア次第では爆発的な革命を起こりそうな予感がしてます。

目次

ウェアラブルにしか出来ない事と、スマホでも出来る事

AppleWatchが発売されると同時に有名サービスのアプリが多数リリースされましたが、中にはスマホアプリの機能をほぼそのままウォッチの画面に最適化して表示しただけ、といったようなものもあるように感じました。では、スマホとウェアラブル端末で、本質的にはどこが違っているのか?というのを考えてみました。

予期的UXの観測が可能になる

まずスマホとウェアラブル端末の最大の違いは、その「常駐性」にあると思います。スマホは常時電源オンと言ってもポケットやカバンの中に突っ込まれている事がほとんどで、利用者の肌に常に触れているということはありません。ウェアラブル端末がウェアラブルたる最大の理由は、利用者が常に身に着けているという一点に尽きます。これにより何が可能になるかというと、スマホでは画面を見ている間のUX、「利用中UX」しかコントロールできないのに対し、ウェアラブル端末であれば利用者がアプリに触れる前から触れるまでの体験、「予期的UX」を観測する事が可能となり、コントロールできるUXの軸が大幅に拡張されたことになるのです。これは地味なようで革命的な可能性を秘めています。例えば、IoT技術と融合することでオフィスの社員全員がウェアラブル端末を装着して体温と発汗量をモニタリングし、室温・湿度が不快領域であるという予期的なUXを観測する事で空調を自動調節する、などの体験の提供が容易に可能になるのです。

ウェアラブル端末同士のIoT

スマホとウェアラブル端末が異なる点の2つ目は、スマホは何台持っても「たくさんのスマホ」であるのに対して、ウェアラブル端末は装着部位に応じて相乗効果を引き出す事が可能という事が挙げられます。例えば、(販売終了してしまいましたが)GoogleGlassのようなメガネ型のウェアラブル端末とAppleWatchのような腕時計型のウェアラブル端末をIoTで組み合わせる事で、視覚と触覚を直結させる事が可能になります。これの何が革新的かというと、受信機兼発信機でしかなかったスマホでは達成できなかった人間の感覚野の拡張が容易に可能になるという事です。たとえば、GoogleGlassのようなメガネ型端末を、後頭部側にかけてみましょう。すると物体が背後に近づいた事を手首に付けた時計型端末でフィードバックできるようになります。利用者の視界が疑似的に360°に拡張されるのです。自動車運転時の居眠り防止にもこういったIoTは生かせるかもしれません。使い方次第ですが、感覚を拡張するためのウェアラブル端末同士のIoTには大きな可能性があると個人的には考えています。

操作を必要としないUXのデザイン

これまでもスマホの音声コントロールであったりKinectのモーションコントロールであったり、直接的な操作を必要としないインターフェースは存在していました。しかしウェアラブル端末は上記で挙げたような特性から使用者を常にモニタリングし続け、自発的にアクションを起こす事が出来るという大きな強みがあります。これが具体的にどのようなシーンで活かせるか?というのは以前寄稿した記事のこの部分で解説しました。

ステータスをモニタリングしていると、具体的にどんな事が出来るか?というと、例えば急病で突然あなたが倒れた時。スマートフォンを常に肌身はなさず携帯していたとしても、自分で救急車を呼ぶ事が出来ない状態であれば意味がありませんよね。しかし、AppleWatchのようなバイタリティをモニタリングするウェアラブルデバイスを装着していた場合、 デバイス自体が状況を判断し、自らを操作してアクションを起こすことが可能になります。
Appleはついに、人間とデバイスの間にあった「操作」という関係性すらも、ユーザー体験として切り離してしまったのです。
(出典:UI/UX JAPAN)

このようにアプリに対するUXデザインの考え方から「操作」という部分が完全に切り離され、純粋なUXとして提供する事が可能になりました。「UIの操作」を必要とするデバイスは、本質的にいくら小型で携帯性があったとしてもウェアラブルデバイスとは異なるものなのです。

ウェアラブル端末に適したアプリとは

まとめとして冒頭で示した「AppleWatchをはじめとしたウェアラブル端末に適したアプリとはどんなものか?」という議論の結論を述べると、

  • 利用者の状況のモニタリングが必要であるもの
  • 利用者の五感に直結した拡張性を提供するもの
  • 直接的な操作を必ずしも必要としないもの

この3点に集約されると私は考えています。逆にこの3点のどれも必要としないアプリであれば、それはスマホアプリとしてリリースした方が良いという事になります。ウェアラブル端末の世界はまだまだ一般層に浸透し始めたばかりの黎明期ですが、この大きな可能性を秘めた転換期をうまく活用していきたいですね。